佐々木クリスが語る「ママっ子の逆襲J・テイタム(ボストン・セルティックス)」

  • 2018/5/23

ジェイソン・テイタム

NBAプレーオフ(PO)に緑色の旋風が吹き荒れている。「未来のチーム」とファンからは形容され、カイリー・アービング、ゴードン・ヘイワードを中心とした軍団がチャンピオンシップに絡んでくる2、3年後の未来はボストン・セルティックスファンにとって待ちきれないものとなるはずだった。
しかし、その待ちきれない瞬間が実は今だったのかと思わせるほどのセルティックスの躍進は、イースタン・カンファレンスのディフェンディング・チャンピオンであるクリーブランド・キャバリアーズとレブロン・ジェームズに対してカンファレンス決勝(CF)を2勝0敗と留まる事を知らない。

レギュラーシーズン(RS)中は失点率が最も低いチームとしてディフェンスを最大の武器に戦ってきた。得点効率では18位と平均以下に甘んじていたが、ビハインドからの逆転も多く、接戦にさえ持ち込めばアービングがビッグプレーを決めてみせるのがひとつのパターンであった。

そんなセルティックスにあって、カイリー・アービングの全休が発表されてからテリー・ロジアー(3年目)、ジェイレン・ブラウン(2年目)、ジェイソン・テイタム(1年目)といった若手のここまでの台頭を誰が予想しただろうか。
ミルウォーキーとのタフな7戦を勝ち上がるとカンファレンス準決勝では一時イーストで最強のチームではないかとの言われ方までしていたフィラデルフィア76ersを5戦で退けてみせた。期待を寄せながらもこれほどのインパクトを予見出来たファンは少ないはずだ。

なんとPOで50分以上共に戦う5人組として、ロジアー、テイタム、ブラウン、モリス、ホーフォードの5人は共にコートに立ってきた84分で121.3という100回の攻撃権辺りの攻撃を見せている。「ハンプトンズ・5(ファイブ)」と騒がれるウォリアーズの5人組を若干ではあるが上回っているのである。

http://stats.nba.com/lineups/advanced/?Season=2017-18&SeasonType=Playoffs&sort=OFF_RATING&dir=1&CF=MIN*GE*50

課題であった攻撃を担って余ある若手三羽がらすの活躍はチームの将来設計に対しても大きな影響を及ぼすのではないかと、様々な分析すら現地ではなされている。

そしてPOの1st、2ndラウンドでは少し下降した持ち前のディフェンスもCFでは戻ってきた。RSで最も相手に許す3pt%が低かったセルティックスは3ptの威力に依存するクリーブランドにとっては正に天敵。最初の2戦でも顕著に傾向として現れている。

ルーキー離れしたルーキー

今季のNBAはルーキー豊作の年と言われ、あのレブロン、D・ウェイド、C・アンソニーを含む2003年ドラフト組以来の当たり年とも言われている。
レギュラーシーズンを通じて新人王争いの最先端にいたシクサーズB・シモンズ、ジャズのD・ミッチェルはプレーオフでも話題の中心で、多くのハイライトに登場した。しかし、今もチームの主力としてプレーオフに生き残っているのはボストンのジェイソン・テイタムだ。

球団内ではポール・ピアース以来新人として開幕戦先発を任されたテイタム。彼の強心臓ぶり、成熟度はこのプレーオフで更に効力を発揮している。
こちらの数字は1試合あたりのテイタムによるドライブ数のRS、PO比較だ。

RS 5.7回(チーム4位) FGA2.9本 FG44.9% 3.6ppg(2)
PO10.9回(チーム1位) FGA5.1本(チーム1位) FG47.2% 5.7ppg(1)

更にこちらはアイソレーション(1対1)の機会をどれほどもらっているかのデータだが、
ISO
RS 1.4回(チーム3位) 0.82ppp 1.2ppg(3)
PO3.8回(チーム1位) 0.86ppp 3.3ppg(1)

アービングと言う絶対的エースを欠きチームが打開策を求めたとき、テイタムがその扉を開けている。しかもドライブは2倍近く、アイソレーションは3倍に届く増加振りだ。

そんなテイタムは「素晴らしい気持ちさ。こういった瞬間の為に、シーズンを通じてチームメイトとコーチ陣の信頼を勝ち取ろうと必死にやってきたのだから」と今与えられている役割と大きくなる責任を受け止めている。

カンファレンス準決勝のセブンティシクサーズとの戦いでも、試合終盤にライバルB・シモンズに対するドライブをみせていたが、チームのCF進出を決定付ける象徴的なプレーともなった。

それでも開幕当時を「シーズンを始めるにあたって何を期待して良いのかは分からなかった。今の面子よりチームの顔ぶれはだいぶ違ったからね。こんな事は想像もしていなかった」と謙虚に振り返る。

しかし、テイタムのクラッチ振りは何ら秘密ではないのだ。レギュラーシーズンを通じて信頼を勝ち取ろうとしたとの言葉通り、試合時間残り5分を切り5点差以内の接戦で50本以上シュートを今季レギュラーシーズンで放った選手のうちNO.1となるFG59%(30/51)を残してきている。この事実を考えると、知将スティーブンスも安心してボールを託せるという事になるだろう。

ヘイワードが怪我をした2017-18シーズンの開幕戦。振り返れば2年目の有望株ブラウン(彼もまたPOでの躍進が目覚しい)ではなく、チームが最初からテイタムを先発に据えていた事実は何か関係があるのだろうか?2017年のドラフト3位だったテイタムだが、チームのエインジGMは例え1位指名権を有していてもテイタムを指名するつもりだったと公言しており、球団は彼のスター性に賭けていたことは間違いないだろう。

テイタムがこれだけの活躍を残し、大人びた受け答えでインタビューを捌くことが出来るには実は理由がある。それは”生まれた時から準備していた”からに他ならない。

“生まれた時から準備”の意味を紐解く為には彼の希有な人生と、2人3脚で歩んできた彼の母のストーリーを知らずして語る事は出来ないだろう。

ジェイソン・テイタムの母、ブランディー・コールがジェイソンの父との間に子を授かったのは19歳の時。大学、そして後にヨーロッパでバスケットボール選手としてプレーを続けた父ジャスティンは幼少期のジェイソンや母の側にはおらず、ブランディーはひとりでジェイソンを育てる事となる。しかも教室で…

2016年4月に「僕の最初のクラスメイト」というタイトルの記事をThe Player’s Tribuneに寄稿しているジェイソン・テイタム。そこには彼の母がバレーボール選手としての奨学金を諦めた一方で、大学は何年かかろうと学位を得るまで辞めないと言う強い決意でセントルイス大に通い続けたと振り返って記されている。

しかもベビーシッターや祖父母が面倒をみられない時には幼いテイタムを連れてブランディーは大学に通い続け、生まれた時から8歳ぐらいまで一緒に学校に付き添った記憶があると言う。母の努力の一方、現実的な問題にも度々直面したそうで8、9歳の時には家賃の滞納から自宅退去命令も下されたショックも経験したそうだ。
声を上げて泣く母をみながら幼いテイタムは多くを自問自答したという。
それでも6年生の時に母は見事学士を取得。彼女の卒業式にテイタムがお祝いの言葉をかけると、彼の母は「私たちが達成したのよ」と声を返したそうだ。法学部を卒業し、ブランディーはセントルイスで今弁護士を務めている。

そんな強き母だからこそ、息子には「ひと様から絶対に”あなたにはそんな事できない“と言われても耳を貸すことはない」と強いメッセージを伝えていたそうだ。これだけ身近に模範がいるのだからテイタムがそれを信じて進む事に時間はかからなかっただろう。

さらにテイタムは通信簿の成績が母の基準に満たず、トーナメントの出場を止められたエピソードも披露している。そこから母が言う事は「真剣なんだ」と心を入れ替え、新たな2人3脚が始まった。「コートの外でやる事は、コートのなかでやる事と同じかそれ以上に大事」という言葉を胸に、学業、地域への貢献活動などにも背中を押されたテイタム。身体が大きく育つと共に心も成熟したに違いない。

それでもある時テレビをみながらゴロゴロしていると、突然「あなたがインタビューをテレビで受ける側になったらどう応えるの?」と迫られ「そんなインタビューはされないよ」と返した事があったと言う。勿論母の厳しさを再認識する事になるのだが、そこからリモコンをマイクに見立ててヒーローインタビューの練習に発展したと言う。テイタムはそんな練習が「今メディアに質問を受ける時に緊張せずに済んでいる大きな要因」だと認めている。

先日、母の日に大好きな母との写真をアップしたテイタム。1年だけ在籍したデューク大の卒業に関しても「コーチはあなたが学位を取らなければ永久欠番にはしてくれない」と母は釘を打っているそうだ。

強い絆で結ばれた2人はこれからも多くの事を達成して行く事だろう。「彼女は僕の親友」と言うテイタム。ただそれだけでは足りなかったのか「僕は史上最高のママっ子、誇りを持って宣言するよ」と胸を張る。2人が達成する偉業はまだまだ続く事だろう。

参考文献
https://www.theplayerstribune.com/en-us/articles/jayson-tatum-duke-jordan-brand-classic

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
超絶ドラマチック!
NBAバスケットボール プレーオフ東西決勝好評放送中

6月は17-18シーズンのフィナーレ!
頂上決戦!NBAファイナル全試合放送
オリジナル企画満載でスペシャルゲストも予定

6/2(土)午前9:45~「第1戦」
[好評企画] 番組キャスター長澤壮太郎のSO!スポNBA 他

第2戦::6/5(火)、第3戦::6/8(金)、第4戦:6/10(日)、第5戦:6/13(水)、
第6戦:6/16(土)、第7戦:6/19(火)
※すべて試合翌日の録画放送になります。ご了承ください。
5戦以降は休止の場合あり。

超絶NBAダイジェスト!(毎週月曜よる放送)
プレーオフ1週間の動向を試合ハイライトで振り返る

もっと見る

閉じる

My番組登録とは?

My番組登録で見逃し防止!

見たい番組、気になる番組をあらかじめ登録。
放送時間前のリマインドメールで番組をうっかり見逃すことがありません。

利用するには?

WEB会員IDをご登録のうえ、ログインしてご利用ください。

WEB会員IDをお持ちでない方
WEB会員IDを登録する
WEB会員IDをお持ちの方
ログインする
閉じる

番組で使用されているアイコンについて

初回初回放送
新番組
最終回
生放送
5.15.1chサラウンド放送
二カ国語版二カ国語版放送
吹替版吹替版放送
字幕版字幕版放送
字幕放送
無料ノンスクランブル(無料放送)
PG-12指定2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
PG12指定劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
R-15指定2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定相当R-15指定に相当する場面があると思われるもの
R15+指定劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定相当R15+指定に相当する場面があると思われるもの
R指定1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの
blank