佐々木クリスが語る「コーナー3ptは諸刃の剣なのか!?」

  • 2018/1/18

クレイ・トンプソン

年々増加の一途を辿る3ptシュート。もはやNBAを日常的に観戦している方はその効果を様々な観点から理解されていると思う。得点効率、スペーシング効果…そんな3ptの中でも特に確率も高いことからコートの両隅、3ptラインが45度やトップの位置よりも短いコーナー3ptを如何に生み出すか?または抑えるのか?は、もはや戦略上においてリング周りを巡る攻防の次の最優先課題と言っても良いほど試合に与える影響力が大きい。

マニアに突っ込まれそうなので、一応触れておくと、コーナー3ptの戦略的活用はかつてサンアントニオ・スパーズにショーン・エリオットやブルース・ボーエンが所属し、ボーエンなどは現在で言う3ptが打てて、守備で信頼出来る「3&D」の先駆けでもあったと思うし、ロールプレーヤーはいかなる時代でもニッチな部分に自分の活路を開くのは普遍的なことだろう。

念のため、コート上のどこからシュートを放つのが“効率”が良く、得られる得点の“期待値”が高いのか、おさらいをしておこう。2017-18シーズン、NBAのエリア別平均シュート成功率は以下の通りだ。

 リング周り(制限区域、半径1.5m以内) 62.9%
 制限区域外のペイント内 39.5%
 ミドルレンジ(ペイントの外から3Pラインの内側まで) 40.1%
 コーナー3pt (左右両隅) 39.4%
 それ以外の3pt 35.7%

この確率だけではそれぞれのエリアから放たれる価値は、リング周りを除いてなかなかピンと来ないかも知れない。3ptシュートがもつ得点分の価値(2ptの1.5倍)を加味したeFG%というのも、もはや世界のアナリストには一般化しているが、それぞれのエリアでシュートが成功した場合の得点を成功率とかけ合わせるだけで、実は期待値が直ぐ出てくる。

 リング周り(制限区域、半径1.5m以内) 62.9%×2=1.258
 制限区域外のペイント内 39.5%×2=0.79
 ミドルレンジ(ペイントの外から3Pラインの内側まで) 40.1%×2=0.802
 コーナー3pt (左右両隅) 39.4%×3 =1.182
 それ以外の3pt 35.7%×3 =1.071

バスケットボールは1回の攻撃で1得点以上が目標となる数字であるから、即座にシュートを放つべきエリアが明確になる。そして3ptシュートの増加に関しても、納得が行くはずだ。
当然、ノーマークか否か、バランスを崩しているかいないか、試合中の様々な要素によって確率は左右される。それでもリング周りの次に重要なのがコーナーからの3ptで、攻撃側としては増やすべきシュートタイプと断言出来る。

NBAのなかで3ptシュートの増加の大部分を担ってきたヒューストン・ロケッツとクリーブランド・キャバリアーズはコーナー3pt試投数でも過去2シーズンTOP2という結果になっている。今季もここまで2番目と6番目の多さ。そしてそのオフェンス力と言えば鬼も凍り付くほどだ。

15-16シーズン、コーナー3ptを生み出す数が多かったTOP10チームのうち、100回の攻撃権換算の得点力(オフェンス・レーティング)でもTOP10入りしたチームは6チーム。逆にワースト10入りはゼロ。

ロケッツ・ラプターズ・ブレイザーズ・キャバリアーズ・ウォリアーズ・サンダー

16-17シーズンではコーナー3pt試投TOP10中5チームがオフェンス・レーティングでもTOP10入り。唯一コーナー3ptが多くとも攻撃力がワースト10に甘んじたのは再建まっただ中のブルックリン・ネッツ。つまり試行している戦術は良くてもタレント力が純粋にリーグ比では足りないということではないだろうか。

キャバリアーズ・ロケッツ・ラプターズ・セルティックス・ウォリアーズ・ネッツ

17-18シーズン途中までで、TOP10カテゴリーに該当するチームは4チーム。コーナー3ptを上位1/3に入る頻度で多く打ちながら、ワースト10の攻撃力は前季と同じブルックリンに加え、マイアミ・ヒートと1チーム増えた。

ペリカンズ・キャバリアーズ・ラプターズ・セルティックス・ネッツ・ヒート


ブルックリンは昨季と同じタレント不足があげられる。マイアミには怪我人などラインナップが固定されていない難しさも要因としてあげられるが、リーグ屈指のタレント集団とも言い難く、もしコーナー3ptをこの頻度で放っていなかったらもっと目も当てられない状況…とも言えるかも知れない。

ここまででコーナー3ptを多く放つことがオフェンス・レーティングの向上に役立つことが分かったが、逆はどうだろうか。コーナー3ptを打たなければ良い攻撃は構築出来ないのか?以下の結果となった。

コーナー3pt試投数ワースト10チームのうち
15-16
OFF RTG TOP10入り 2チーム(CHA,SAS)
OFF RTG ワースト10入り 6チーム(DEN,NYK,LAL,MEM,CHI,MIL)

16-17
OFF RTG TOP10入り2チーム(MIN,DEN)
OFF RTG ワースト10入り 4チーム(PHI,SAC,DET,ORL)

17-18
OFF RTG TOP10入り 2チーム(DEN,GSW)
OFF RTG ワースト10入り 5チーム(SAC,LAL,CHA,MEM,POR)

ゴールデンステイト・ウォリアーズのように、もはやコート上のどこからシュートを放っても効率の高いチームは稀だろう。それでも毎年2チームほど例外は出るものの、シーズン平均では5チームが攻撃力ワースト10にランクインしてしまう。再建期かどうか、チームのバックグラウンドも無視出来ないが、コーナー3ptを多く放つことに成功したチームの半数がTOP10オフェンス構築に成功し、コーナー3ptの少ないチームの半数がワースト10オフェンスに転落することは見逃せない事実だ。

当然強力なインサイドアタックで挽回出来る部分は十分にある。むしろドライブからのシュート成功率とオフェンス力の方が相関関係は強い(ドライブ決定力TOP10が8/10がTOP10オフェンス)、ただこれまでのデータがコーナー3ptの重要性を改めてお伝えするのに十分であると同時に、ドライブ決定力TOP10チームのうち半数はコーナー3pt数でもTOP10とこの2つの要素を見事に掛け合わせているのである。

今度NBAのみならず、バスケを観戦される時は「どうコーナー3ptを巡る攻防が行われているのか?」に注目してもらいたい。ピック&ロールの守り方ひとつとってもチームの考えが浮かび上がるし、守備面ではストロングサイドのコーナーからは、コーナーのシューターを離してドライブなどの“ヘルプには行かない!”というのがグローバルスタンダードだ。

さて、あとちょっとだけお付き合いいただけるだろうか。
実はコーナー3ptの話題を議論する中、少ないながらも何度か『コーナー3ptは相手がリバウンドを取った場合、守備に戻ることに時間がかかるリスクを伴う』という話を伺った。そこで今回はここも検証することとした。
15-16
コーナー3pt試投数TOP10のうち
相手に速攻を与える頻度が多い(ワースト10入り) 2チーム
相手に速攻を与える頻度が少ない(ベスト10入り) 4チーム

16-17
コーナー3pt試投数TOP10
相手に速攻を与える頻度が多い 2チーム
相手に速攻を与える頻度が少ない 2チーム

17-18
コーナー3P試投数TOP10
相手に速攻を与える頻度が多い 3チーム
相手に速攻を与える頻度が少ない 4チーム

ご覧のように、みなさんも確認出来る公式スタッツ
http://stats.nba.com/teams/transition/?Season=2017-18&SeasonType=Regular%20Season&PerMode=Totals&OD=defensive
で確認出来る今季を含めた3シーズンでは、相手に速攻を与える頻度の少ないチームが10対7で多く与えるチームを上回った。

では守備の戻りを優先してコーナー3ptを打たないという選択をしているチームが、試投数ワースト10チームに存在すると仮定して、試投数の少ないチームがどれくらい戻れているのか?同じ3シーズンで抽出すると、コーナー3pt試投数ワースト10のうち、相手に速攻を与える頻度が少ないチームは9対12と多く与えるチームを下回り、コーナー3ptの数が少なければ守備への切り替えが必ずしも早くなる訳ではない、むしろ問題は別のところに存在していて、プラス面を考えればやはり積極的に打つべきシュートだと言うことだろう。

そもそもコーナーからシュートを打って自分のマークマンを逆側で捉えられなかった経験は倒れ込んだ時以外記憶がない。その上コーナーだろうが、ドライブ後のレイアップでも、ガードが突っ込んだら普段とは違う、シューティングガード(SG)やスモールフォワード(SF)がセイフティーに回るチームとしての規律の方が問われる。今回リサーチをする中でコーナー3ptが多く、速攻も多く許すチームを考えた時、審判への抗議に大きな労力を割く主力選手の顔も直に思い浮かんだ。

NBAではオフェンス・リバウンドに参加する選手の数が変化している、と言うことも「気になる数字」などで扱ってきたが、相手のトランジションを低減する手法は他にもある。コーナー3ptを“打たない”というオプションでないことだけは間違いない。
Let it Fly! (打ち放て!)

(活用データは全てNBA.com/stats より2018/1/12時点)

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