左強打でV9狙う「スーパーマン」
基本に忠実な元2階級制覇王者ジャック

  • 2018/06/22

 13年6月、36歳の誕生日を3ヵ月後に控えたアドニス・スティーブンソン(40=ハイチ/カナダ)が、同じサウスポーのチャド・ドーソン(アメリカ)を左一発で76秒KOに屠って戴冠を果たしたとき、誰が5年の長期政権を予想しただろうか。その3年前、スティーブンソンは曲者ダーネル・ブーン(アメリカ)の右を浴びてダウン、2回TKO負けを喫しているように、強打の反面、打たれ脆さも併せ持った選手として知られていたのだ。トップ戦線において高い次元で安定した力を発揮することは難しいとみられていたとしても不思議はなかった。
 ところが、「スーパーマン」はそんな予想を覆し、下記のとおり防衛のテープを伸ばしてきた。20代前半に4年間、反社会的行為のため隔離された時期があったが、それが肉体にとってプラスに作用している可能性があるといったら穿ちすぎだろうか。
(1)タボリス・クラウド(米)          
〇7回終了TKO
(2)トニー・ベリュー(英)          
〇6回TKO
(3)アンドレイ・フォンファラ(ポーランド)  
〇12回判定
(4)ドミトリー・スコーツキー(カザフスタン/露)
〇5回KO
(5)サキオ・ビカ(カメルーン/豪)       
〇12回判定
(6)トミー・カーペンシー(米)        
〇3回TKO
(7)トーマス・ウィリアムス(米)       
〇4回KO
(8)アンドレイ・フォンファラ(ポーランド)  
〇2回TKO
 16年と17年は各1試合とペースが落ちていることや、8度の防衛戦がすべてホームとしているカナダ国内であることなど気になる点もあるが、まずはみごとな実績といえる。9度の世界戦(全勝7KO)を含む通算戦績は30戦29勝(24KO)1敗。KOの多くは左ストレートによるものだ。今回の試合を前にしても自信が揺らぐことはなく「多くのパンチを当てる必要はない。たった一発、左がヒットすれば試合は終わる」と話している。
 しかし、スティーブンソンにとって区切りとなる10度目の世界戦は、これまでで最も厳しい試合になると予想されている。オッズはV8王者有利と出てはいるものの12対11と接近している。スティーブンソンにとって11ヵ月ぶりの試合であることに加え、挑戦者のバドゥ・ジャック(34=スウェーデン/アメリカ)の実力、実績が高く評価されているからだ。
 ジャックは08年北京五輪に父親の出身地でもある西アフリカのガンビア代表として出場(ミドル級1回戦敗退)したあと、09年8月に母親の出身地スウェーデンでプロデビュー。約9年のキャリアで25戦22勝(13KO)1敗2分という戦績を残している。KO率は52パーセントと平均の域を出ないが、総合的に高い戦力を備えている。左ジャブと足で角度と距離をつくり、正確なパンチを顔面とボディに打ち分ける。相手が出てくると間合いをとり、接近した際には細かいフックやアッパーを数多く繰り出す。スティーブンソンのような絶対的な切り札や派手さはないが、試合運びに長けた実力者といえる。15年以降の5試合はすべて世界戦で、WBCのスーパー・ミドル級王座(3度防衛)、WBAのライト・ヘビー級王座を獲得したが、いずれも防衛には強い執着をみせずに王座を返上している。この5試合(4勝1KO1分)のうち直近の5回TKO勝ちを除く4戦は判定勝負で、しかもジャッジ三者全員から支持された試合はひとつもない。良くいえば勝負強い、悪くいえば決め手不足ということになる。
 左右の構えだけでなく戦闘スタイルが大きく異なるだけに、先に主導権を握った方が圧倒的優位に立つはずだ。特にスティーブンソンが早い段階で得意の左を打ち込むようならば、その時点で試合が終わる可能性がある。ジャックは相手を空回りさせてスタミナロスを誘い、勝負を中盤から終盤に伸ばしたいところだ。挑戦者が持ち味を発揮する展開になった場合は接戦になるかもしれない。

ライト・ヘビー級トップ戦線の現状

WBA   :ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)
WBC   :アドニス・スティーブンソン(ハイチ/カナダ)
WBC 暫定:オレクサンデル・グボジーク(ウクライナ/アメリカ)
IBF   :アルツール・ベテルビエフ(ロシア/カナダ)
WBO   :セルゲイ・コバレフ(ロシア/アメリカ)

 3年ほど前まではWBA、IBF、WBO3団体統一王者だったセルゲイ・コバレフ(35=ロシア/アメリカ 35戦32勝28KO2敗1分)と、WBC王者のアドニス・スティーブンソン(40=ハイチ/カナダ 30戦29勝24KO1敗)の頂上決戦が期待されていたが、とうとう実現しなかった。アンドレ・ウォード(アメリカ)に連敗したあとコバレフは王座を再獲得したが、スティーブンソンにもコバレフにも、そしてファンにも以前のような統一戦待望の熱は感じられない。
 こうしたなかドミトリー・ビボル(27=キルギス/ロシア 13戦全勝11KO)、オレクサンデル・グボジーク(31=ウクライナ/アメリカ 15戦全勝12KO)、アルツール・ベテルビエフ(33=ロシア/カナダ 12戦全KO勝ち)が戴冠を果たし、両ベテランを脅かしている。5人すべてが80パーセント以上のKO率を誇る強打者だけに、もしも統一戦が実現するならばどの組み合わせ興味深いカードといえる。まだ具体化はしていないが、ビボル対コバレフのWBA&WBO統一戦、スティーブンソン対グボジークのWBC内 統一戦が実現の可能性を秘めている。無冠時代に最強との評価もあったベテルビエフは王座を獲得したものの、故障が目立つうえビジネス面の摩擦が多いため試合の機会が少ない点が気になる。
 5人と同等の力量の持ち主とみられているのが、元2階級制覇王者のバドゥ・ジャック(34=スウェーデン/アメリカ)と、長いこと挑戦の機会を待ち続けているエレイデル・アルバレス(34=コロンビア/カナダ)だ。ジャックは今回のスティーブンソン戦、アルバレスは8月にコバレフへの挑戦が決まっている。ふたりとも王者の強打をテクニックで空転させることができるか注目される。

もっと見る

閉じる

My番組登録とは?

My番組登録で見逃し防止!

見たい番組、気になる番組をあらかじめ登録。
放送時間前のリマインドメールで番組をうっかり見逃すことがありません。

利用するには?

WEB会員IDをご登録のうえ、ログインしてご利用ください。

WEB会員IDをお持ちでない方
WEB会員IDを登録する
WEB会員IDをお持ちの方
ログインする
閉じる

番組で使用されているアイコンについて

初回初回放送
新番組
最終回
生放送
5.15.1chサラウンド放送
二カ国語版二カ国語版放送
吹替版吹替版放送
字幕版字幕版放送
字幕放送
無料ノンスクランブル(無料放送)
PG-12指定2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、PG-12指定(12歳未満は保護者同伴が望ましい)されたもの
PG12指定劇場公開時、PG12指定(小学生以下は助言・指導が必要)されたもの
R-15指定2009年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R-15指定(15歳未満鑑賞不可)されたもの
R-15指定相当R-15指定に相当する場面があると思われるもの
R15+指定劇場公開時、R15+指定(15歳以上鑑賞可)されたもの
R15+指定相当R15+指定に相当する場面があると思われるもの
R指定1998年4月以前に映倫審査を受けた作品で、R指定(一般映画制限付き)とされたもの