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五輪連覇 3戦目で王座獲得 7戦目で2階級制覇
ウクライナが生んだ天才サウスポー ワシル・ロマチェンコ 2018.01.19

 飛ぶ鳥を落とす勢いとは、まさにこの男のことをいうのだろう。目下7連続KO(TKO)勝ち中のWBO世界S・フェザー級王者、ワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ)。アマチュア時代にはオリンピックで2大会続けて金メダルを獲得し、プロ転向後は史上最速タイとなる3戦目にフェザー級王座を奪取。7戦目には現在の王座につき、2階級制覇を成し遂げている。「ハイテク(高性能)」というニックネームを持つ技巧派サウスポーの進撃は、まだまだ当分続きそうだ。



瞬間移動して上下打ち分け 「現役最強」の声も

 ロマチェンコは昨年、4月に前WBA王者のジェイソン・ソーサ(アメリカ)、8月にタフと強打で知られるミゲール・マリアガ(コロンビア)、12月には同じ五輪連覇の実績を持つWBA世界S・バンタム級スーパー王者、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)をTKOで退け防衛回数を「4」に伸ばした。いずれもスピードとスキルに弄ばれた挑戦者が途中で勝負を諦めるという終わり方だった。初防衛戦のニコラス・ウォータース(ジャマイカ)戦と合わせ、ここ4試合はすべて相手がまったく勝機を見出せないまま棄権している。当のロマチェンコは「ノー・マス(もうやめた)・チェンコと名前を変えようか」とジョークを飛ばしているほどだ。
 身長170センチ、リーチ166センチとS・フェザー級では決して体格に恵まれているとはいえないが、その体を前傾させながら前後左右に忙しく動かしてタイミングと距離を計り、顔面とボディにパンチを打ち分けて相手を翻弄してしまう。まるで瞬間移動のような自在なボクシングといえる。そうかと思えば現在の王座を奪ったローマン・マルチネス(プエルトリコ)戦のように左アッパー、右フックなど倒すパンチも持っている。とにかく、最近のロマチェンコの巧さ、強さは際立っており、アメリカの老舗専門誌「リング」と専門サイト「ファイトニュース」は2017年の年間最優秀選手にロマチェンコを選んでいるほどだ。また、「パウンド・フォー・パウンド(同一体重と仮定した強さ指数)」の現役ナンバー1に推す識者やファンも多い。

 ワシル・アナトリヨビッチ・ロマチェンコは1988年2月17日、ウクライナ南部のビルホロドドニストロフスキーという町で生まれた。厳密にいえばウクライナがソビエト連邦から独立する3年前のことだ。父親が元アマチュアボクサーで、母親が体操のコーチ、姉が体操選手というアスリート一家に育ったロマチェンコは幼いころから父親の指導を受けてボクシングに親しみ、04年には17歳以下を対象としたU-17欧州大会で優勝。06年にはジュニアの世界選手権でも優勝した。
 シニアの大会に出場するようになってもロマチェンコは際立った実績を残した。07年の世界選手権ではフェザー級決勝でアルベルト・セリモフ(ロシア)に16対11のポイント負けを喫して準優勝に甘んじたが、のちにセリモフには2度借りを返している。08年北京五輪ではフェザー級で金メダルを獲得。12年ロンドン五輪ではフェザー級が実施されなかったためライト級に出場し、ここでも最も高い表彰台に上った。09年(フェザー級)と11年(ライト級)の世界選手権でも連覇を果たしている。アマチュア戦績に関しては諸説あるものの、いまは397戦396勝1敗が通説となっている。つまり前出のセリモフ戦がアマチュア時代唯一の敗北ということになる。



転級後に新境地開拓 記録にも記憶にも残るスター選手に

 これだけの実績を残している逸材だけに、プロ転向に際してはゴールデンボーイ・プロモーションズなど複数社の勧誘があったが、ロマチェンコはトップランク社と契約を交わした。そのときロマチェンコが「デビュー戦で世界挑戦させてほしい」とボブ・アラム・プロモーターに条件を出したという逸話は有名だ。
 プロデビュー戦(10回戦)は13年10月で、ロマチェンコはWBO世界フェザー級7位のホセ・ラミレス(メキシコ)を左ボディブローで悶絶させた。この試合でWBOインターナショナル王座を獲得したロマチェンコは、翌14年3月にWBO世界フェザー級王座に挑戦する機会を得た。試合前日の計量で対戦相手のオルランド・サリド(メキシコ)が体重オーバーのため王座を剥奪されるというハプニングがあり、加えて試合当日の体重はサリドが5キロも重かった。この体重差に加えサリドのなりふり構わぬアタックに押されるシーンもあったロマチェンコは、最後に追い上げをみせたものの12回判定で敗れた。

 続くプロ3戦目、天才サウスポーは再び世界戦のリングに上がる。サリドが剥奪されて空位になった王座の決定戦に出場することになったのだ。勝てば史上最速タイの3戦目での戴冠となるが、負ければいきなり選手生命の危機に瀕する重要な試合だった。相手は24戦全勝(14KO)のサウスポー、のちにWBC世界フェザー級王者になるゲイリー・ラッセル(アメリカ)だった。トップランク社が与えた試練といってもいいだろう。この試合でロマチェンコは12回判定勝ちを収め、デビューから8ヵ月で世界一になった。
 このあとロマチェンコは着実に防衛を重ねたが、必ずしも評価は芳しいものとはいえなかった。テクニックに頼る部分が多く、プロとして観客を唸らせるものがなかったのだ。もしも、そのまま安全運転を続けて勝利至上主義を貫いていたならば、いまのような評価を受けることはなかっただろう。

 ロマチェンコがプロとしてひと皮むけたのは、現在のS・フェザー級に転向してからといっていいだろう。マルチネスを鮮やかなコンビネーションでキャンバスに沈め、ウォータース、ソーサ、マリアガ、そしてリゴンドーをスピードとスキルで圧倒。わずかプロ11戦(10勝/8KO/1敗)ながら、自分のスタイルを確立し、ファンや関係者に実力を認知させることに成功した。記録だけでなく記憶に残るスター選手の仲間入りを果たしたといっていいだろう。こうした成功の裏にはトレーナーを務める父アナトリー・ロマチェンコ氏やエジス・クリマス・マネージャー、アラム・プロモーターの指導や助言があったはずだ。
 2月に30歳の誕生日を迎えるロマチェンコの視線は、S・フェザー級王座の統一戦、ライト級進出、そしてミゲール・マイキー・ガルシア(アメリカ=WBC世界ライト級王者)らとのスーパー・ファイトに向けられている。はたして、この「ハイテク」を止めるボクサーはいるのか――いまのロマチェンコは、そんな興味が湧いてくるほど強くて巧い。

Written by ボクシングライター原功



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